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☆つぶやく「東京オリンピック」以降の世界(後編)☆

つぶやく「東京オリンピック」以降の世界(後編)

>東京オリンピック2020年以降の近未来世界。押し寄せるテクノロジーの潮流は、皮肉にも「人の凄さ」を浮かび上がらせる。 テクノロジスト小室哲哉は俯瞰の目でその変化を語った。


コウガミ:東京オリンピックが来る2020年頃には、音楽と映像のシンクロ技術はどのように進化していると予想されますか?

小室:確実に言えるのは、会場に行かなくても会場にいるような体験はできるようになるでしょうね。それから、よりアスリートの感覚を共有できるようになるのでは? 緊張感だったり、錦織圭君の場合だったら「こんなにラケットって重いの?」とか、サッカー選手の「え!? こんなに蹴るの難しいの」みたいな、選手が感じていることが体感できるようになってくると思います。

何度も繰り返すけれど、最終的には「生身の人間」が凄いことをやっているということを、テクノロジーを通して人に教えてあげられることが大事。東京オリンピックのころは、このことが実現しているような気がします。

僕らの音楽に当てはめたら、「シンセとかエレクトロニックで一番進化したことやってる」みたいに思われますけれど、東京オリンピックの頃には、逆に一番遅れてるかもしれない(笑)。もうこういう形が当たり前になっちゃって、何か「凄いなー!」と思わせることを作るのが難しくなるかもしれないね。

それよりも、バイオリン演奏者が左手に感じている重さだったり、弦の弾き具合だったり、みんなで音を合わせる時の空気感だったり、そういうものがあらゆるテクノロジーで「体感」できるのが未来の形かな。 例えば、ウサイン・ボルトが「スタート」した時の動き出しとか、知りたくない? PK戦の時の心拍数とか? 僕の予想だとそういうことがテクノロジーで出来るようになると思うんですよ。僕は昔、ドゥンガ監督にインタビューしたことがあってね。ワールドカップ1994年決勝のPK戦の時、ゴール裏にブラジル全国民が見えたって言ってたのね。でもゴールはマッチ箱よりも小さく見えたって。東京オリンピックの頃はテクノロジーで、そういう感覚が感じられるようになるんじゃないかな。

コウガミ:音楽やスポーツの接し方や楽しみ方が今とは全く変わりますね。

小室:全然変わるよね。何が変わるかっていうと、頑張っている人や才能ある人、生身の人間の「凄さ」を感じることに変わっていくと思う。ミュージシャンやアスリートの「凄いな!」が分かるようになることで、人間の凄さへ「原点回帰」出来ると思う。

音楽の場合は、インデックスのように作用し、その時の感覚を呼び起こし思い出させることが出来ると思う。「プロローグ」と「エピローグ」みたいな感じに。「BGM」って言葉もあるけれど、頭の中にある潜在的なモノを復活させるスターターみたいなモノになってくるのかな。

そのためには「ヒット曲」じゃないとダメだよね。みんなが知っているヒット曲がパッと聴こえた時に、「うわっ来た!」とみんなが思えたら、やっぱりそれは素晴らしいことだよね。そしてそこに映像とか邪魔しないものがあったら、より素晴らしいモノだと思う。


■聴覚、体感が繋ぐ「リアルタイム」のエンターテインメント

コウガミ:音楽と映像が融合した理想型はどんな形でしょうか?

小室:それは「視覚」「聴覚」と今話した「体感」の3つ全てが生で三位一体揃った時ですね。生演奏をその場にいながら感じられる音楽。演奏している側も楽しいし理想だよね。

先日TM Networkのライブをやっていて、自分が撮った映像が後ろのスクリーンに流れて動いていて、自分がそれに合わせて弾けて、みんながそれを見て鳥肌を立ててくれたり涙腺が緩んでくれたり。それが全て同時かつ瞬間的に起きている。凄く久しぶりに音楽で楽しさを味わえたんだよね。もう少し進化すると、その一体感がもっと凄くなると思っている。

ちょっと今のフェスだと、やれるものを全て出しちゃおうな感じで、少し「Too much」な感じがして。もうちょっとセンチメンタルなところがあってもいいのかな、という気もしなくもない。あるのかな? ロマンチックなものも?(笑)無いよね。それを考えると、フェスのようなみんながいる場所で、そういう気持ちになるような音楽をできればいいなあと思ってて。

オリンピックやワールドカップ級になったら、何億の人が、ありえないのに同じ瞬間で鳥肌が立ったり涙腺が緩んだりするわけでしょ。そういうのが理想というかいいよね。うらやましいよね、そういう風にできたら。

コウガミ:自宅だったらどうやってそんな体験を感じられるようになると思いますか?

小室:自宅だったら、ハイレゾ機器のようなデバイスを使わないと無理だよね。みんながスタジアムクラスの家に住んでるわけじゃないから。そうなるとやっぱりシミュレーションになってしまうから。

そこは、出し惜しみじゃないけれど、自身の楽しみとしてとっておくというのもありなんじゃないかな。家ではある程度の質で我慢して、実際にライブへ足を運んだらもっと凄いことができるとか。現場から体感できることをARなどのテクノロジーで感じてから実際に見に行くとかね、ありかもしれないね。 DJの人とかって作った曲を流してるだけじゃんと思う人いるかもしれないけれど、セットの中でちゃんとストーリーを作れる人が「凄いなあ」と言われる人達なわけ。実際現場に行って見て体感してみると、「あ、やっぱり考えてるなあ」と分かる。こんな大勢のみんなの手を挙げさせられる人の凄さが分かる。

だからそこは「余白」の部分を残しておいていいのかなと思う。全部家でできちゃうのは、つまんないかなと思う。


■ 「一体感」を誘発させるキックスターターとしての音楽と、音楽ビジネスの未来

コウガミ:日本でも広がってきましたが、「EDM」が盛り上がる背景には何があるとお考えですか?

小室:フェスに何十万人も集まるのって、ヨーロッパの文化なのかなという気はしていて。何百年前のクラシック音楽があって王様とか国王がいた時代からの流れというか、そこには宮廷音楽家がいて、「演奏会やるから」と王様とか国王が曲を作らせて、他国の王様や王妃が来て、いい席に座ったりして、一般の市民たちも集まって、その場限りの大演奏会を愉しむ。そしてみんな各国に帰って、「凄かった」と周りの人に伝え始めると、現代のSNSのようにどんどん広がるというのに近いのかな。

ヘタしたら「200年周期」くらいでこのフェス文化は起きてるんじゃないかな。Love Paradeとか行われていたのは90年代だとしたら、20年周期くらいな気もする。Ultra(Music Festival)も20年くらい経っているわけじゃない。だからそんな1年2年でポンポンと軽くできるものじゃない。

今はSNSや口コミがあるけれど、根本的には「良かったよ」という言葉があることが大事になってくる。年々ゆっくり、そこに行くことの楽しみというか、「僕もいたんだよ」という空気感が拡がっていくことだよね。アメリカでは巨大資本がドカッと入ってきてラスベガスとかは凄いことにはなってるけれど、今年のTomorrowlandにクラシック音楽が入ってきたりするのは、多分ヨーロッパ的な発想なわけでね。アメリカが悪いわけじゃないんだけどね(笑)。アメリカはやっぱり派手で華やかでゴージャスな感じだよね(笑)。

みんな一緒に、一瞬、同じ気分になれる「一体感」を感じさせてあげたいというEDMフェスのメッセージ、意外とやさしいよね(笑)。DJの人たちやオーガナイザーの人たちは、そういう気持ちにさせてあげたいなあと思っているかもしれないね。

あとはメッセージというか、忙しい毎日から抜けだして「ここにきてストレス解消してよ」とか、少し忘れさせてあげたいのかもね。そこに行って「非日常」を感じてもらいたいという気持ちもあるような気がする。

コウガミ:これまでは体験の話を聞かせていただきましたが、音楽を聴くなど消費の方法はどんな変化を迎えると思っていますか?

小室:もし音楽が芸術と言うものの中に入れてもらえるなら、大変な苦労をして歴史も長いけれど、経済的な価値からしたら一番下だと思うんだよね。一枚の絵とかと一緒に考えたら。絵とかの場合はすごい価値がついて、ルーブルとかに飾られるでしょ。音楽の場合は、もしそれがすごい音楽でも普通に流れてることがある。アーティストのコンセプトだったり、考えていることやメッセージや生き様や人間性があって、その人から出る音楽だから価値が出るみたいな感じで。音だけで考えると、アートの中では一番下にされちゃう気がする。

消費されてもいいかな、とは思っていて、その中でも数少ない数曲が全世界でも日本でも残っていく。それはその作った人の人間性や生き様でつながって、人に渡されてその人のものになっていく。僕は「曲のひとり歩き」と言ってるけれど、いい曲ができたらそれぞれの人のところに行ってしまったりするので、基本的に消耗品でもいいと思っている。

さっきも話したけれど、人をハッとさせる「スターター」のような音楽として、パソコンの起動音みたいな音楽を作るのが夢で。起動音作れたら大ヒットじゃない。全世界で知らない人はいない音。そういう意味でも、音楽はそういうモノでもいいのかなという気もしてる。

コウガミ:日本の音楽ビジネスの構造は変わると思いますか?

小室:変わらないといけない。日本の音楽としては昭和から平成もしくは20世紀から21世紀にまだ変わっていない、まだクロスフェードしている状態。「物流」もあるけれど「物流」もないみたいな状態で、今が一番混沌としている。

例えば「ハイレゾ」と言うけれど、僕らがスタジオで作って「はい、OK」になった時はハイレゾ品質なんだよね。だけどその音がみんなのiPhoneに届く時には、ダウンコンバートされて劣化した音がダウンロードされているんだよ。スタジオの音を届けるためには、SDカードやハイレゾウォークマンのようなテクノロジーがもっと使えればいいなあと思うんだよね。だから、今の音楽はいろいろと「ダウンサイズ」され過ぎなのかな。

僕らは一生懸命に作ってるんだけどね。その中で本当に時間をかけてできた3-4分の曲が、対価を払ってもいいと思える音楽なのかな。でも毎月のiPhoneの通信料を支払う額と同じくらいの額を支払ってもいいような音楽はなかなかできなくて、何十時間何百時間なんてものじゃないくらいの時間をかけた音楽制作の中で、たまたま歌詞だったり音楽だったりが、みんな共感できるものが生まれることがある。

音楽の場合、たまたま「パッ」と作れちゃって、どーんと行っちゃった人が大変だよね。さて次、2曲目となった時、そして3曲目、4曲目となった時、それまでが偶然だったりノウハウが蓄積されていなかったりだと、大変厳しいと思うな。

コウガミ:僕が印象的なのは、小室さんはアーティストとしては積極的にSNSを使っている点で、特に日本のiTunesにソニーミュージックの音楽を解禁させたキッカケをTwitterで作った事は日本音楽史の分岐点だった気がします。

小室:あれはソニーミュージックの音楽が解禁される前から「黒船来襲」をやりたいなと(笑)。確か2012年にプリンセス・プリンセス、米米CLUB、TM Networkでライブをやった時、帰りがけにお客さんが「あ、あの曲iTunesで買えない」と言っていた。どの曲も無かった(笑)。そういう状況だったので、ソニーさんにつぶやいたんだよね。買えたら嬉しいなって。僕のツイートでは過去最大のRT数だったんだけど、それがソニーさんにも届いてね。その年の夏にはiTunesで始まったよね。あの時は「クリエイション」という意味で、凄いパワーを感じたよね。ああいった「ムーブメント」がもう一回起きて欲しいよね。欧米ではPandoraやSpotifyの「音楽ストリーミング」があるでしょ。でもまだ日本では止まっているでしょ。良い悪いの議論は別にして、ちょっと何か、ムーブメントとして変わってくれたら面白い気がする。ソーシャルを使ってね。


■ 小室哲哉が見据える「クリエイター」の理想形

コウガミ:ではこれからのクリエイターは、音楽や映像を含めてどんなコンテンツを作っていく人たちだとお考えですか?

小室:「生身の人間」が極限まで頭や身体を使って凄いことを起こせたり、なぜか涙が出てきたり鳥肌が立ったりすることをみんなに感じさせたり、そういうことを「教えてあげる」人に期待したいかな。僕もやらないといけないけれど。クリエイターとはそういうものを作っていく人たち。時には僕自身がクリエイターとなって、頭や身体を使って頑張ったことが分かるものを作品として作っていきたい。あとは、アスリートやミュージシャンや頑張っている人たちの凄さや驚嘆するものを、みんなに教えてあげたり感じさせてあげるというか、「体感」させてあげることが大事だと思う。

動物と違って「人」は特別。勝負に勝つとか記録を作るとか凄いメロディを作るとかを通して「人の凄さ」をみんなに教えてあげるというのが、今後のクリエイターの一番近づいていくべきところじゃないかと思いますね。クリエイターは、「凄い人」の「凄さ」をみんなに「体感」させられる人であって欲しいと思います。

自分自身が自分をクリエイトしていくことでもいいと思う。たまにつぶやくけれど、褒めてもらうことって凄く嬉しいし、凄い活力に変換されていくので、クリエイターの人はみんなそうだと思うんだよね。クリエイティブの原動力だね。


音楽テクノロジーの洪水の中で、決して泳ぐことをやめない小室哲哉。

次にお会いできる時には、どんなことを「感じ」させてくれるのか楽しみだ。
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